PROPERTY / 土地・借地権
権利が絡む土地は、査定では値段がつかない
更地ならまだしも、借地権、底地、親の土地に建てた家──権利関係が絡んだ途端、仲介会社は「うちでは査定できません」となりがちです。財産分与で最も鑑定評価が必要になる類型です。

このページの結論
- 借地権・底地は取引市場が薄く、仲介査定では根拠のある価格が出にくい類型です。
- 路線価図の借地権割合は課税のための数字であり、市場価値とずれることがあります。
- 相続した土地は特有財産として分与対象外が原則ですが、その上の建物や利用関係の整理が必要になります。
- 権利の評価は不動産鑑定士の本来業務です。査定を断られた物件こそご相談ください。
借地権──「割合を掛けるだけ」では済まない
借地権付き建物にお住まいの場合、財産分与の対象になるのは建物と借地権です。借地権の評価というと「更地価格 × 借地権割合(路線価図の6割・7割など)」という計算が知られていますが、これは相続税の課税のための簡便法です。
市場での借地権の価値は、次の要因で大きく動きます。
- 地代の水準:周辺相場より地代が低ければ借地人に有利で、借地権の価値を押し上げます。逆もあります。
- 契約の残存期間と更新の見込み:旧法借地権か新法か、定期借地権かで前提が変わります。
- 譲渡・建替え承諾の見込み:売却には地主の承諾(と承諾料)が必要です。承諾が得にくい借地権は流動性が下がります。
- 地主との関係:底地とまとめて売れる状況か、借地人・地主間の売買が見込めるかで、実現できる価格が変わります。
鑑定評価では、これらを個別に検討して借地権の価値を導きます。財産分与の場面では「地主に売る場合」「第三者に売る場合」「持ち続ける場合」で実現価値が違うことも論点になるため、前提条件の設計が重要です。
底地・貸宅地──収益と権利の両面から
先代から引き継いだ貸宅地(底地)をお持ちのケースもあります。底地は地代収入を生む資産ですが、借地人がいる限り自由に使えないため、更地価格から大きく減価した水準で取引されるのが通常です。
底地の評価は、地代収入に基づく収益価格と、更地価格に対する割合的な水準の両面から検討します。相続で取得した底地は特有財産の論点もあるため、評価と法律の両面の整理が必要です。

よくあるご質問
借地の上に建てた家です。財産分与の対象になりますか。
建物と借地権(土地を利用する権利)は夫婦の財産として分与の対象になり得ます。借地権は更地価格に借地権割合を乗じるだけでは適正に評価できないことも多く、契約内容・地代水準・残存期間を踏まえた評価が必要です。対象になるかどうかの法律判断は弁護士にご確認ください。
路線価図の借地権割合を掛ければよいのではないですか。
路線価図の借地権割合は相続税課税のための割合です。実際の市場では、地代の水準、契約の残存期間、地主との関係、譲渡承諾の見込みによって借地権の価値は変動します。課税上の割合をそのまま時価の計算に使うと、実態とずれることがあります。
先祖代々の土地は分与の対象になりますか。
相続で取得した土地は特有財産として、原則として財産分与の対象外とされています。ただしその土地の上に夫婦で建物を建てた場合など、建物と敷地利用の関係を整理する必要が生じます。法律関係の整理は弁護士にご相談ください。
駐車場として貸している土地があります。
月極駐車場などの貸地は、賃貸借の内容によって評価の方法が変わります。暫定利用の更地として評価すべき場合と、収益性を考慮すべき場合があります。契約資料をご用意のうえご相談ください。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません
物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。