SITUATION / 裁判・訴訟

訴訟での不動産評価。私的鑑定か、裁判所鑑定か

調停が不成立になり訴訟へ。不動産の評価が争点として残っている場合、評価を確定させる方法は大きく2つあります。当事者が依頼する私的鑑定と、裁判所が選任する鑑定人による鑑定です。

法廷のイメージ

このページの結論

  • 私的鑑定は当事者が不動産鑑定士に依頼するもので、費用20万円〜60万円程度、書証として提出します。
  • 裁判所鑑定は裁判所が鑑定人を選任するもので、予納金は数十万円〜100万円超になることもあります。
  • 実務では、費用の大きい裁判所鑑定を避け、私的鑑定や資料に基づいて評価額の合意(または和解)に至る例も多いとされています。
  • 私的鑑定を先に出すことは、議論の軸を先に設定するという意味を持ちます。

2つの鑑定の違い

私的鑑定(当事者依頼)裁判所鑑定(鑑定人選任)
依頼者当事者の一方(または双方)裁判所が鑑定人を選任
費用の目安20万円〜60万円程度予納金数十万円〜100万円超も
費用負担依頼した当事者申立当事者が予納、最終負担は判決等で決定
位置づけ書証(証拠資料)として提出証拠方法としての鑑定
中立性の見られ方依頼者側の資料として吟味される中立の鑑定として重く扱われる傾向
時期の自由度いつでも依頼可能裁判所の判断・訴訟の進行による

※ 一般的な傾向の整理です。個別の訴訟での扱いは裁判所の判断によります。

「中立性で勝る裁判所鑑定が常に優れている」とは限りません。裁判所鑑定は費用が大きく、時間もかかります。実務では、その負担を避けるために、当事者双方が資料を出し合って評価額を合意し、あるいは和解に至る例も多いとされています。

私的鑑定を「先に」出す意味

訴訟で不動産の評価が争点になったとき、何も資料を出さなければ、議論は相手方の出した資料を軸に進みます。私的鑑定を先に提出することには、次の意味があります。

  • 議論の軸を設定する:根拠の示された評価額が最初に出ると、相手方はそれに対する反証を組み立てる側に回ります。
  • 裁判所鑑定の要否の判断材料になる:双方の主張と資料が出揃った段階で、裁判所鑑定まで必要かが見えてきます。私的鑑定の水準で合意できるなら、双方が高額の予納金を避けられます。
  • 和解の土台になる:離婚訴訟の多くは和解で終わるとされています。根拠ある数字は和解案の基礎として機能します。
資料を示しながら説明する様子

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裁判所鑑定になった場合の心構え

裁判所が鑑定を採用した場合、鑑定人は裁判所が選任するため、当事者が鑑定人を選ぶことはできません。鑑定人の評価が自分の主張より不利に出る可能性も当然あります。

その場合でも、私的鑑定や意見書を通じて、鑑定人の評価に対する求釈明(前提や手法についての質問)の材料を提供することはできます。鑑定結果を検証できる専門家が自陣にいるかどうかは、鑑定書が出た後の対応力に関わります。

よくあるご質問

裁判所の鑑定と私的鑑定、どちらが優先されますか。

裁判所が選任した鑑定人による鑑定は、中立性の点で重く扱われる傾向があるとされています。ただし私的鑑定も書証として提出でき、その内容の合理性に応じて評価されます。証拠の評価は個別の裁判所の判断であり、一概には言えません。訴訟戦略は弁護士にご相談ください。

裁判所鑑定の費用は誰が払うのですか。

鑑定を申し立てた当事者がいったん予納し、最終的な負担は判決や和解の内容で定まるのが一般的な扱いです。予納金は物件の内容によりますが数十万円規模になることが多く、100万円を超える例もあるとされています。

私的鑑定は「依頼者寄り」と見られませんか。

当事者の一方が依頼した鑑定である以上、そうした目で見られること自体は避けられません。だからこそ、鑑定評価基準への準拠と根拠の透明性が重要になります。当事務所は依頼者に有利な金額を作ることはせず、そのことが結果として書面の説得力を支えると考えています。

相手方の私的鑑定書に反論したいです。

セカンドオピニオンとして、相手方鑑定書の前提条件・採用事例・手法適用の妥当性を検証し、問題点を整理した意見書を作成することができます。反論の主張構成は代理人弁護士の先生と連携して進めます。

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