SITUATION / 離婚調停

調停で「価格のわかる資料」を求められたら

離婚調停で不動産が争点になると、調停委員から価格資料の提出を求められます。何を出すかによって、その後の議論の進み方が変わります。査定書で足りる場合と、鑑定評価書が必要な場合の見極めを解説します。

裁判所の建物

このページの結論

  • 調停に提出する価格資料に決まった様式はありませんが、金額に争いがある場合は根拠を検証できる資料ほど機能します。
  • 査定書は無料で早い一方、作成者が価格に責任を負わない営業資料である点が調停の場でも指摘され得ます。
  • 鑑定評価書は不動産鑑定士が責任を負う書面で、調停委員への説明力が最も高い資料です。
  • 期日から逆算して、遅くとも1か月前にはご相談ください。

調停で価格資料がどう使われるか

調停は裁判と違い、当事者の合意によって成立する手続です。調停委員は双方の言い分を聞きながら、合意できる着地点を探ります。不動産の価格が争点になっている場合、調停委員がまず知りたいのは「客観的にはいくらぐらいのものなのか」です。

ここで双方が異なる査定書を出し合うと、調停委員としてもどちらの数字を軸に話を進めるべきか判断がつきません。結果として「間を取りましょう」という提案になりがちですが、そもそも両方の査定が偏っていれば、間を取っても適正額にはなりません。

根拠が明示された第三者の評価がひとつ入ると、議論の軸ができます。相手方が反論するなら、評価書のどの前提・どの事例選択に異論があるのかを特定する必要が生じ、議論が具体化します。

資料ごとの調停での扱われ方

資料費用作成期間調停での位置づけ
固定資産税評価証明書数百円即日課税上の価格。時価と乖離があり、争いがある場面では不十分
仲介会社の査定書無料数日参考資料。作成者が責任を負わず、偏りの指摘を受けやすい
価格等調査報告書10万円〜約1週間鑑定士作成の調査資料。協議の土台には十分機能
鑑定評価書20万円〜2〜3週間鑑定士が責任を負う正式書面。説明力が最も高い

※ 期間は資料が揃ってからの目安です。調停での評価は個別の事案・調停委員の判断によります。

期日から逆算した鑑定評価書の準備スケジュール
  1. 期日1か月前

    ご相談・お見積り

    物件と進行状況の確認

  2. 3週間前

    ご契約・資料提出

    登記・納税通知書など

  3. 2週間前

    調査・評価

    現地調査と事例分析

  4. 1週間前

    納品

    内容のご説明・提出準備

※ 資料の揃い具合により前後します。期日が迫っている場合もまずはご相談ください。

資料を示しながら説明する様子

調停の進行状況と次回期日をうかがえれば、間に合う資料と段取りをご提案します。代理人弁護士の先生がいらっしゃる場合は、先生を交えたお打ち合わせも可能です。

期日までの段取りを相談する

初回相談無料/ご相談内容を相手方に伝えることはありません

相手方が査定書を出してきたとき

相手方から査定書が提出された場合、選択肢は3つあります。

  • ① 受け入れる:金額が妥当な範囲にあると判断できるなら、争わないのも合理的な選択です。
  • ② 検証する(セカンドオピニオン):査定書の前提条件・採用事例に不合理な点がないかを不動産鑑定士が検証します。反論すべき点が見つからなければ、その旨をお伝えします(①に合流します)。
  • ③ 対抗する評価を出す:検証の結果、看過できない偏りがある場合に、こちら側から鑑定評価書を提出します。

いきなり③に進むのではなく、②を挟むことをおすすめしています。検証の結果、相手方の数字が妥当なら、鑑定費用をかけずに済むからです。

CASE

想定されるケース

※ 実際のご相談内容ではなく、起こりうる状況として作成したシナリオです。実在の人物・案件とは関係ありません。

CASE 01

調停委員から次回期日までに価格資料を求められた

状況

調停2回目で自宅マンションの評価が争点に。調停委員から「次回までに価格のわかる資料を」と言われたが、次回期日は6週間後。

評価資料を用意した場合

資料収集と並行して評価を進めれば、鑑定評価書の作成期間として十分な時間です。期日1週間前の納品を目標に逆算したスケジュールを組みます。

CASE 02

相手方の査定書が明らかに低すぎる気がする

状況

代償金を支払う側の相手方が、周辺の売出事例より明らかに低い査定書を調停に提出してきた。感覚的にはおかしいが、どこがおかしいのか説明できない。

評価資料を用意した場合

セカンドオピニオンで査定書の採用事例・補正の妥当性を検証し、問題点を書面で整理します。そのうえで必要なら、当方の鑑定評価書を対抗資料として提出する流れに進めます。

よくあるご質問

調停委員に「価格のわかる資料」と言われました。何を出せばよいですか。

決まった様式はなく、査定書・固定資産税評価証明書・鑑定評価書などが実務では提出されています。金額に争いがない場合は簡便な資料でも進みますが、争いがある場合は、根拠を第三者が検証できる鑑定評価書が最も機能します。何を出すべきかは代理人弁護士がいる場合はその方針に従ってください。

調停のためだけに鑑定評価書を取るのは大げさではないですか。

金額の争いの幅によります。双方の主張の差が小さければ簡便な資料で足ります。差が数百万円あり、その半分が代償金として動くのであれば、費用対効果は成立しやすくなります。取る意味がないと判断した場合は、ご相談の段階でそうお伝えします。

調停委員は鑑定評価書に従ってくれますか。

調停は当事者の合意で成立する手続であり、鑑定評価書に強制力はありません。ただ、根拠の示された第三者の評価は、調停委員が双方を説得する際の材料として機能し得ます。「必ず通る」とは申し上げられませんが、無根拠の主張よりも議論の位置は明確になります。

次回期日まで3週間しかありません。間に合いますか。

資料の揃い具合によりますが、鑑定評価書は資料が揃ってから2〜3週間が目安のため、かなりタイトです。まずお電話でご相談ください。間に合わない場合は、期日には概要の資料を提出し、次々回期日に正式な評価書を出すといった段取りも考えられます。段取りは代理人弁護士とご相談ください。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません

物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。

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