TOPIC / 評価の基準時

評価の基準時は、別居時か。離婚時か。

別居してから離婚が成立するまで、数年かかることは珍しくありません。その間に不動産の価格が動いていたら、どの時点の価格で分けるのか。財産分与で見落とされやすい論点です。

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このページの結論

  • 実務では、財産分与の対象となる財産の範囲は別居時を基準に確定するのが一般的な扱いです。
  • 一方、その財産をいくらと評価するかは、離婚時(分与時)に近い時点で行う扱いが一般的とされています。
  • 別居から離婚までに不動産価格が動いた場合、この2つの時点の区別が結論に影響します。
  • 不動産鑑定評価では価格時点を過去に設定できるため、別居時点の価格を今から算定することが可能です。

「対象の確定」と「評価」は別の話

財産分与を考えるときは、2つの問いを分ける必要があります。ひとつは「どの財産が分与の対象になるか」、もうひとつは「その財産をいくらと評価するか」です。

対象の確定については、夫婦の協力関係が失われた時点、すなわち別居時を基準とする扱いが実務では一般的です。別居後にどちらかが取得した財産は、夫婦が協力して築いたものとはいえないためです。

一方、対象となった財産の評価は、実際に分ける時点、つまり離婚時(分与時)に近い時点で行う扱いが一般的とされています。株式のように価格が日々動く資産を想像するとわかりやすいですが、不動産も同じように時間とともに価格が動きます。

「対象の確定」と「評価」は時点が違う
  1. STEP 1

    別居時

    分与の対象となる財産の範囲をこの時点で確定するのが一般的

  2. 係争中

    協議・調停

    この間も不動産価格は動き続ける

  3. STEP 2

    離婚時(分与時)

    対象財産の評価はこの時点に近い価格で行う扱いが一般的

※ 実務の一般的な扱いの紹介です。個別事案での基準時の主張は弁護士にご相談ください。

価格が動くと、何が起こるか

別居時に3,000万円だったマンションが、離婚成立の時点で3,600万円になっていたとします。どちらの時点の価格で代償金を計算するかで、受け取る金額は変わります。

別居後に価格が上昇したケース(2分の1ずつ分ける場合)
評価時点評価額代償金(2分の1)
別居時3,000万円1,500万円
離婚時3,600万円1,800万円

※ 説明のための仮の数値です。下落局面では逆の関係になります。

差は300万円。ここ数年の都市部のように市況が動いた時期に別居期間が重なっていると、この差はさらに大きくなり得ます。どちらの時点を採るかは法律上の主張の問題ですが、主張するためには、その時点の価格を根拠をもって示す資料が必要です

資料を示しながら説明する様子

別居時点の価格と現在の価格、両方の評価をまとめてお出しすることもできます。どの時点の評価が必要になりそうか、状況をうかがって整理します。

必要な評価時点を相談する

初回相談無料/ご相談内容を相手方に伝えることはありません

過去時点の評価は、鑑定評価にしかできない

仲介会社の査定は「いま売り出したらいくらか」を答えるものなので、原則として現在時点の価格しか出せません。数年前の時点の価格を根拠をもって示すことは、査定の仕組み上むずかしいのです。

不動産鑑定評価では、価格時点を過去の特定の日に設定する評価が認められています。当時の取引事例、地価公示、市場動向の資料に基づいて、その時点の価格を算定します。別居時の評価が必要な場面では、実質的に鑑定評価が唯一の手段になります。

なお、過去時点の評価は収集する資料が増えるため、現在時点の評価より費用と時間がかかる場合があります。お見積りの際にご説明します。

よくあるご質問

別居してから3年経っています。どの時点の価格で評価しますか。

実務では、財産分与の対象を確定する基準時(別居時)と、その財産を評価する時点(離婚時・分与時に近い時点)を分けて考える扱いが一般的です。別居後に不動産価格が大きく動いている場合は、どの時点の価格を用いるかが争点になり得ます。法律上の主張については弁護士にご相談ください。当方では、どちらの時点の評価もお出しできます。

過去の時点の価格を、今から評価できるのですか。

できます。不動産鑑定評価では価格時点を過去に設定する評価が認められています。当時の取引事例や地価の資料に基づいて評価するため、現在時点の評価と同等の手順で作成できます。

別居後に自分がローンを払い続けました。考慮されますか。

別居後の返済分の扱いは、財産分与の計算における法律上の論点であり、弁護士にご相談いただく範囲です。不動産鑑定士としては、必要な時点の不動産の価値を示すことで、その計算の前提となる数字を提供します。

どの時点の評価を取ればよいかわかりません。

手続の状況と、別居からの期間、その間の市況をうかがえば、どの時点の評価が必要になりそうかの整理はお手伝いできます。複数時点の評価をまとめてご依頼いただくことも可能です。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません

物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。

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