弁護士が私的鑑定を依頼するときに伝えるべき7つの事項
財産分与事件で不動産鑑定士に私的鑑定を依頼する際、最初に伝えていただけると評価の設計が速く正確になる7項目を、受ける側の立場から整理しました。

財産分与事件で私的鑑定をご依頼いただく際、最初のご連絡で以下の7点をお知らせいただけると、評価の設計とお見積りが速く、正確になります。鑑定を受ける側からの実務的なお願いとして整理しました。
1. 事件の段階と次回期日
協議中か、調停係属中か、訴訟か。次回期日はいつか。これで納期の制約が決まります。鑑定評価書は資料が揃ってから2〜3週間が標準ですので、期日の1か月前までにご相談いただけると余裕を持って設計できます。
2. 評価の目的(何に使うか)
相手方への提示用か、調停委員への提出用か、和解案の基礎資料か。目的によって、正式な鑑定評価書が必要か、価格等調査報告書で足りるかが変わります。費用も2倍近く違うため、目的に対して過剰な成果物をお勧めしないためにも、用途をお聞かせください。
3. 価格時点(いつの価格が必要か)
現在の価格か、別居時点か、その両方か。基準時に関する主張構成によって必要な価格時点が決まります。過去時点の評価は資料収集の範囲が広がるため、費用と納期に影響します。複数時点をまとめてご依頼いただく場合は、その旨を最初にお知らせください。
4. 対象物件の特定情報
所在(住居表示または地番)、物件種別、可能であれば登記事項証明書。マンションであれば部屋番号まで。この情報だけで、評価の難易度と概算費用の見当がつきます。
5. 占有状況と調査の制約
対象物件に誰が住んでいるか。相手方が居住していて内部調査が難しいか。調査への協力が得られない場合は、外観調査と資料に基づく評価に切り替え、その旨を評価書に記載します。制約は事前にわかっていれば設計に織り込めます。
6. 相手方から出ている資料
相手方が査定書や鑑定評価書を既に提出している場合は、その写しをご共有ください。対抗する評価を出すべきか、まず相手方資料の問題点を検証する意見書に留めるべきか、費用対効果を含めてご提案します。
7. 依頼者の期待値の共有状況
依頼者様が「鑑定を取れば有利な数字が出る」と期待されている場合、結果がそれを下回ったときに困るのは先生です。当方は評価額の事前保証はできませんが、着手前の見立て段階で、評価がどの水準になりそうかの心証はお伝えできます。依頼者様への期待値の調整にお使いください。
これらが揃わない段階のご相談でも、もちろん構いません。「この事案、鑑定を入れる意味がありますか」という一往復から始めていただくのが、結局は最も無駄がないと考えています。
免責事項
本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。
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