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自営業・会社経営者の離婚と不動産──事業用資産はどこまで分与の対象か

店舗兼住宅、事務所、法人名義の社屋——事業に使う不動産が絡む離婚は、対象の切り分けと評価の両面で複雑になります。個人名義と法人名義で変わる整理、事業用不動産の評価の考え方を解説します。

著者:吉田 健人·読了 約3
自営業・会社経営者の離婚と不動産──事業用資産はどこまで分与の対象か

自営業や会社経営のご夫婦の離婚では、住まいと事業が不動産の上で重なっていることが少なくありません。1階が店舗で2階が自宅、自宅の一室が事務所、あるいは法人名義の社屋。この類型は、「何が分与の対象か」の切り分けから始める必要があります。

個人名義か、法人名義か

個人名義の事業用不動産(個人事業主の店舗・事務所など)は、婚姻中に取得したものであれば、事業用であっても財産分与の対象になり得ます。事業の維持に不可欠だからといって当然に対象外になるわけではなく、扱いは事案ごとの判断です。

法人名義の不動産は、法人という別人格の財産であり、不動産そのものは直接の分与対象にならないのが原則です。その代わり、夫婦が保有する法人の株式・持分が財産分与の対象になり、その株式の価値の中に不動産の価値が織り込まれます。

どちらに当たるか、株式の評価をどう主張するかは法律・会計の論点が交錯します。弁護士(必要に応じて税理士・公認会計士)との連携が前提の領域です。

事業用不動産の評価の特徴

事業用不動産の評価は、自宅の評価といくつかの点で異なります。

  • 収益性が軸になる:賃貸に出せばいくらの賃料を生むかという収益価格が重要な判断材料になります
  • 事業との一体性:店舗兼住宅は、住宅部分と店舗部分で市場も価格水準も異なるため、構成を分析して評価します
  • 簿価と時価の乖離:法人の帳簿に載っている価格(簿価)は取得時ベースであり、現在の時価とは通常一致しません。株式評価の前提として不動産の時価評価が必要になるのはこのためです

経営への配慮

事業用不動産の調査では、従業員や取引先に事情が伝わることへの懸念がつきものです。調査の範囲・方法・時間帯は事前に設計できますので、事業への影響が心配な場合は、その旨を最初にお聞かせください。

まとめ

  • 個人名義の事業用不動産は分与対象になり得る。法人名義は株式評価を介して反映される
  • 事業用の評価は収益性・用途構成・簿価との乖離が論点
  • 士業連携が前提の領域。調査は事業への配慮を織り込んで設計できる

経営者の離婚案件における不動産・株式評価の前提資料の作成について、弁護士・税理士の先生との連携でお受けしています。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

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