財産分与の基礎

親の土地に建てた家の離婚──土地は対象外、では建物は?

実家の敷地に家を建てた夫婦の離婚では、「親名義の土地」と「夫婦の建物」が別の扱いになります。土地はなぜ対象外か、建物の評価はどう考えるか、二世帯住宅の難しさまでを整理します。

著者:吉田 健人·読了 約3
親の土地に建てた家の離婚──土地は対象外、では建物は?

「親の土地に家を建てさせてもらった」という住まい方は、地方だけでなく都市近郊でも多く見られます。この形の離婚では、土地と建物で扱いがまったく違うことを、最初に押さえる必要があります。

土地は原則として財産分与の対象外

土地が親名義であれば、それは配偶者の親の財産であって夫婦の財産ではありません。財産分与の対象にはならないのが原則です。婚姻中に一方が相続で取得した土地も、特有財産として同様に対象外が原則です。

対象になるのは、夫婦が婚姻中に建てた建物と、それに付随する敷地利用の権利関係です。

建物の評価と「敷地利用権」の問題

親の土地に子が家を建てる場合、地代を払わない「使用貸借」という形が大半です。この建物を評価するとき、実務上悩ましいのは次の点です。

  • 市場性の低さ:他人の土地(使用貸借)の上の建物は、第三者への売却が現実的に難しく、市場価値は限定されます
  • 利用価値は現に存在する:一方で、住み続ける当事者にとっての利用価値は現実にあります
  • 土地所有者(親)との関係:離婚後に土地所有者の子でない側が建物を取得しても、土地を使い続けられるかは別問題です

評価の前提(誰が取得し、どう利用する想定か)によって適切な評価アプローチが変わるため、この類型は前提条件の設計が評価の半分を占めます。使用貸借の継続可否など法律関係の整理は弁護士にご相談ください。

二世帯住宅はさらに複雑

親の土地に二世帯住宅を建て、建築資金も親と夫婦で出し合った——という形になると、建物の共有持分・資金の出どころ(特有財産)・同居の解消と、論点が積み重なります。

複雑なケースほど、「まず数字を確定できるところから確定させる」のが定石です。建物の評価、夫婦が負担した資金の割合、これらが固まれば、法律上の主張の組み立て(弁護士の領域)に土台ができます。

まとめ

  • 親名義の土地は対象外が原則。対象は夫婦の建物と利用関係
  • 使用貸借上の建物は、評価の前提条件の設計が重要
  • 二世帯住宅は論点が積み重なる。数字の確定から着手を

親の土地の上の建物の評価は、前提の置き方のご相談から承ります。弁護士の先生との三者での整理にも対応しています。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

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