評価の実務

リフォームした家の財産分与──かけたお金と上がる価値は一致しない

1,000万円かけたリノベーションは、財産分与の評価で1,000万円分価値を上げるわけではありません。リフォームが評価に反映される仕組み、反映されやすい工事とされにくい工事、残しておくべき資料を解説します。

著者:吉田 健人·読了 約3
リフォームした家の財産分与──かけたお金と上がる価値は一致しない

「3年前に1,000万円かけてフルリノベーションした。その分は評価に足してもらえるのか」。リフォーム済みの家の財産分与で必ず出てくる論点です。答えは「反映されるが、かけた金額どおりではない」です。

費用と価値は別物

リフォームにかけた費用は、そのまま市場価値の増加にはなりません。市場が評価するのは「その工事によって、買い手がいくら多く払うか」であり、工事代金ではないからです。

一般的な傾向として、反映されやすいのは、水回り(キッチン・浴室・トイレ)の更新、間取り変更を伴うリノベーション、外壁・屋根など建物の寿命に関わる工事です。反映されにくいのは、趣味性の強い内装、過剰なグレードの設備、目に見えない部分への小規模な修繕です。

また、時間の経過とともに反映度は下がります。10年前の水回り更新は、市場ではすでに「次の更新が近づいている設備」として見られます。

鑑定評価ではどう扱うか

鑑定評価では、リフォームの内容・時期・費用を確認したうえで、建物の状態に応じた評価を行います。同種の物件の取引で、リフォーム済み物件がどの程度の価格差で取引されているかという市場の証拠も手掛かりになります。

ここで重要なのが資料です。次のものが残っていれば、評価への反映は格段にやりやすくなります。

  • 工事請負契約書・見積書・領収書(内容と金額と時期の証明)
  • 工事前後の写真
  • 設備の保証書・仕様書

資料がなければ「いつ・何を・どこまでやったか」を確認できず、評価に織り込める範囲は狭くなります。

「リフォーム代を出したのは私」という主張

費用の負担者の問題は、評価とは別の論点です。婚姻中に共有の家計から出したのか、一方の特有財産(婚姻前の貯金や親の援助)から出したのかで、財産分与での扱いが変わり得ます。この主張の組み立ては弁護士にご相談ください。その際も、上記の領収書類が資金の流れの立証資料になります。

まとめ

  • リフォーム費用と価値の増加は一致しない。市場が評価する工事かどうかで決まる
  • 契約書・領収書・写真が残っているかで、評価への反映度が変わる
  • 費用を誰が出したかは特有財産の論点。弁護士と整理を

リフォーム済みの家の評価では、ご相談時に工事資料の有無をうかがいます。「資料が揃っていないが、どこまで評価できるか」という段階のご相談も歓迎します。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

FREE CONSULTATION

鑑定が必要かどうかのご相談だけでも歓迎です

記事に関連するお悩みについて、不動産鑑定士に直接ご相談いただけます。

関連記事

電話で相談無料相談を申込む