離婚後も今の家に住み続けるという選択──必要なお金を全部書き出す
子どもの環境を変えたくない等の理由で家に住み続ける選択をする前に、代償金・ローン・維持費・将来の修繕まで、必要になるお金を全部書き出して判断材料にする方法を解説します。

「子どもの学区を変えたくない」「住み慣れた家を手放したくない」。離婚後も今の家に住み続けたいという希望は、ご相談の中で最も多く聞くものの一つです。実現可能かどうかは、感情ではなくお金の計算で決まります。判断の前に、必要になるお金を全部書き出してみましょう。
住み続けるために必要なお金の全リスト
① 代償金。家を取得する対価として、相手方に支払うお金です。基本は「(家の時価 − ローン残債)× 2分の1」。時価3,600万円・残債1,600万円なら1,000万円です。一括で払えない場合の分割の可否は交渉次第で、このあたりは弁護士にご相談ください。
② 住宅ローンの返済。ローンが残っている場合、返済を続けるのは誰か。自分名義に借り換えるなら、単独の収入で審査を通る必要があります。夫名義のまま妻子が住み続ける形は、名義人の滞納・売却リスクを抱え続けることになります。
③ 毎年の保有コスト。固定資産税・都市計画税は毎年かかります。マンションなら管理費・修繕積立金が加わり、月3〜5万円規模になることも珍しくありません。
④ 将来の修繕費。戸建なら外壁・屋根・給湯器などの修繕がいずれ来ます。築15年を過ぎた家は、10年スパンで数百万円の支出を見込んでおくのが現実的です。
⑤ 取得に伴う税・費用。名義変更の登録免許税、場合により不動産取得税。税務の詳細は税理士にご確認ください。
「住み続けられるか」は時価で決まる
このリストの出発点は①の代償金であり、代償金は時価で決まります。
時価が高く出れば代償金は増え、住み続けるハードルは上がります。逆に、相手方が高すぎる評価を主張しているなら、適正な時価を示すことで代償金を適正化できる可能性があります。「住み続けたいから安く評価してほしい」はできませんが、「適正な金額で交渉の土台を作る」ことはできます。
賃貸と比較してみる
冷静な判断のために、同じ学区で同等の賃貸を借りた場合の家賃と、上記②〜④の合計を比べてみることをおすすめします。「住み続けるのが一番安い」とは限りません。売却して得た資金で賃貸に移る選択肢と、数字で並べて比較すると、感情と経済の両方に整理がつきます。
まとめ
- 住み続ける選択のコストは代償金だけではない。ローン・保有コスト・修繕まで書き出す
- すべての計算の出発点は家の時価
- 賃貸との比較で選択肢を数字で並べると判断しやすい
当事務所では、住み続ける選択を検討中の方向けに、代償金計算の前提となる時価の評価を承っています。まだ方針が決まっていない段階でのご相談も歓迎します。
免責事項
本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。
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