評価の実務

タワーマンションの財産分与──眺望と階数の「プレミアム」は誰のものか

タワーマンションは階数・眺望・向きで同じ間取りでも数百万円以上の価格差がつくため、財産分与の評価が特に割れやすい物件です。プレミアムの構造と、評価で確認すべきポイントを解説します。

著者:吉田 健人·読了 約3
タワーマンションの財産分与──眺望と階数の「プレミアム」は誰のものか

タワーマンションの財産分与は、一般のマンション以上に評価額の主張が割れやすいのが特徴です。理由は単純で、同じマンションの同じ間取りでも、階数と眺望によって価格が大きく違うからです。

階数・眺望のプレミアムは実在する

タワーマンションでは、高層階ほど価格が高くなる「階層プレミアム」が明確に存在します。物件にもよりますが、1階上がるごとに0.5〜1%程度の価格差がつくことも珍しくありません。40階建てなら、低層階と高層階で1〜2割の差になり得る計算です。

さらに、同じ階でも向きと眺望で差がつきます。タワー・海・公園などへの抜けのある眺望、角部屋、レインボーブリッジや花火大会が見える面——こうした要素は、成約価格に現実に反映されています。

つまり、「同じマンションの別の部屋がいくらで売れた」という情報だけでは、対象住戸の価格は決まりません。その事例が何階の・どの向きの・どんな眺望の部屋かを補正して、初めて比較になります。

財産分与で起こりがちなすれ違い

  • 支払う側は低層階や条件の悪い住戸の事例を、受け取る側は最上階の成約事例を持ち出す
  • 数年前の購入価格を基準に話してしまい、その後の市況上昇が反映されない
  • 相続税評価額(時価と大きく乖離しやすい)を時価の代わりに使ってしまう

タワーマンションはこの数年で価格が大きく動いた類型でもあり、古い数字と今の時価の差はとりわけ大きくなっています。

評価で確認すべきポイント

鑑定評価では、同一棟・競合棟の成約事例を、階数・向き・眺望・角部屋か否か・リフォーム状況で補正して比較します。分譲時の価格表(階数・向きによる値付けの差が読み取れます)が残っていれば、有力な検証材料になります。

当社では、タワーマンション・高級マンションの評価を専門に扱うサイトも運営しています。1億円を超える住戸や、眺望価値が大きい住戸の評価については、高級マンション・タワーマンション専門サイトもあわせてご覧ください。

まとめ

  • タワマンは階数・眺望のプレミアムで同じ間取りでも大きな価格差がつく
  • 「隣の部屋の成約価格」はそのまま使えない。補正が必須
  • 分譲時の価格表は評価の有力な検証材料。残っていれば必ず提示を

評価額の主張が数百万円単位で割れているタワーマンションの案件は、根拠を示せる鑑定評価が特に機能する場面です。お気軽にご相談ください。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

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